- CEHとはどのような講座でしょうか?
CEH(Certified Ethical Hacker)は、攻撃者の視点や手口を体系的に学び、それを自組織のセキュリティ対策に活かすことを目的とした国際的な認定資格講座です。「攻撃者の手口を知らなければ有効な防御は立てられない」という思想に基づいて講座が作られています。これは、泥棒の手口を知ることで家の防犯対策を強化するのと同じ理屈です。EC-CouncilはCEHを、特定の専門家だけでなく、すべてのIT技術者が最低限押さえるべき「コアスキル」の一つと位置づけています。
講座は、攻撃に関する広範な情報を体系的に集約している点に大きな価値があります。攻撃の根本的な手法は不変ですが、技術環境の変化(オンプレミスからクラウド、PCからスマートフォンへ)に伴い、内容は常に更新されています。全20モジュールで構成されており、最初の約6モジュールで偵察からシステム侵入までの一連の攻撃フェーズを学び、その後、OS、ネットワーク、Webアプリケーション、モバイル、IoT、OT、クラウドといった対象別の攻撃手法を掘り下げます。特に「SQLインジェクション」は一つのモジュールとして独立しており、詳細に解説されます。
2004年頃から約20年の歴史を持ち、現在の最新版はV13です。スマートフォンの普及に伴い「モバイルハッキング」が、クラウド利用の拡大に伴い「クラウド」が追加されるなど、時代に合わせて進化してきました。最新版のV13では、AIを攻撃に利用する手法が各所に追加されています。ポートスキャン等の自動化や、ChatGPTのような生成AIで標的型攻撃メールの文面を作成するプロンプト例などが含まれます。
5日間連続の集中講座で、講義(約60〜90分)とハンズオンの演習(ラボ、約30〜40分)を繰り返す形式で進行します。
CEHに加え、CEH Practicalという実技に関する試験が用意されており、CEH Practicalを合格することで、CEH Masterとして認定されます。CEHは知識を問われ、CEH Practicalは実践力を問われるイメージになります。
- CEHの特徴について教えてください。
CEHにはラボ環境(iLabs)が提供されており、24時間365日アクセス可能で、講座終了後も180日間利用できるため、反復学習に役立ちます。 学んだ攻撃テクニックを安全に試せる演習環境として、受講者の9割以上がその価値を高く評価しています。 詳細な手順書に沿って攻撃を再現できるほか、実験場として自由に試行錯誤することも可能です。CEH Practicalは手を動かした試験になるため、このラボ環境での学習が欠かすことができません。
前述の通り、CEHは永い歴史を持つことから、古い攻撃手法も学ぶことができます。古い攻撃手法を学ぶことは、そこから攻撃を推測していくことにつながっていきます。
ペネトレーションテストや脆弱性監査の担当者が中心的な受講対象者ですが、セキュリティ対策を企画・設計する担当者や、安全なシステムを構築する必要があるすべての開発者・運用担当者にもおすすめの講座です。TCP/IP(3ウェイハンドシェイク等)、Windows/Linux、Webアプリケーションに関する深い理解や「システム/ネットワーク構築経験3年以上」や「応用情報技術者試験合格レベル」の知識があると、より理解が深まります。
独学では収集が困難な攻撃手法の知識を、歴史的経緯も含めて網羅的・体系的に学習できること、安全なラボ環境で多様な攻撃・解析ツールに触れることで、実践的なスキルと知見が得られること、攻撃リスクを判断する視点が養われ、脆弱性のないセキュアなシステム設計・開発に直接活かすことができることが特徴です。
CEHでは知識を証明し、CEH Practicalでスキルを証明していくことになります。ぜひCEH Masterを目指して頂ければと思います。