ランサムウェア攻撃被害事例から考えるインシデント対応のポイント

2026年1月 Column

1.2025年の教訓:なぜ「数ヶ月間」も潜伏を許すのか

2025年1月のコラムにおいて、私たちはランサムウェアが「暗号化による身代金要求」から、データの窃取と公開を組み合わせた「二重脅迫」、さらには暗号化を伴わない「ノーウェアランサム」へと巧妙化していることを解説しました 。
「ランサムウェアとは?攻撃の手口と対処・対策方法を解説」

しかし、直近でメディアでも報道された大手企業の事案では、高度に自動化された物流システムが停止し、受注・出荷の継続が困難となる深刻なランサムウェア攻撃でした。この事案は、サイバー攻撃がIT部門だけの課題ではなく、経営そのものの継続を左右する「IT-BCP(IT業務継続計画)」の課題であることを示します。

侵入後の「内部活動」による拡大

弊社の緊急対応サービスによる支援経験を踏まえると、深刻なインシデントの多くが「ネットワーク内部での不正通信」による侵入範囲の拡大に起因しています 。攻撃者が一度侵入に成功すると、検知の網羅性が低い内部ネットワークで権限を拡大する隠密行動を進めるのです。

4ヶ月に及ぶサイレント・インシデントの実態

前述の大手企業の事例では、2025年6月の初期侵入から10月の発覚まで、約4ヶ月間もの潜伏期間がありました。

2.インシデント対応のポイント:「IT復旧」から「IT-BCP」への拡張

このようなランサムウェア攻撃の事例を踏まえると、インシデント対応はシステムの復旧だけをゴールにしてはいけません。大手通販事業者の「事業継続」を含めた対応が参考となります。

「直す」と「動かす」を切り分ける二層構造

同社は、発覚当日のわずか数時間以内に、対策本部内に「IT復旧部会」と「事業継続部会」を同時に立ち上げました。

3.今、取り組むべき4つの予防・抑制策

攻撃の動向を踏まえると、次の4軸で「侵入されても致命傷を負わない」体制を再構築する必要があると言えます。

① アイデンティティ脅威検知・対応(ITDR)

MFAの「例外」を狙う攻撃が増加しています。単なる認証強化だけでなく、IDの使用状況を常時監視し、異常なログイン試行を即座に検知する仕組み(ITDR)が不可欠です。また、侵入拡大の隠密行動にも気づく手段となります。

② 外部攻撃面の継続的監視(ASM)

VPN機器や公開サーバーの脆弱性は、攻撃者にとっての「玄関口」です。自社が把握していない「野良資産」や、委託先が管理する接続ポイントを可視化し、攻撃される前に脆弱性を塞ぐ「ASM(External Attack Surface Management)」の導入を推奨します。

③ 「攻撃耐性」のあるバックアップ運用

大手通販事業者の事案では、オンラインバックアップが同時に暗号化・削除され、復旧を著しく困難にしました 。ネットワークから論理的に隔離された、書き換え不能なバックアップ環境の構築こそが、IT-BCPの最後の砦となります。

④ サプライチェーン・ガバナンスの再定義

「委託先のPCのログがOS更新で消えていた」という大手通販事業者の教訓は、委託先管理の難しさを示しています。委託先のセキュリティ基準を契約レベルで定義し、リモートアクセスの管理状況を定期的に「監査」する体制が必要です。

4.GSXが提供する「実効性」のある支援

高度化する攻撃に対し、GSXは外部攻撃面の管理からアイデンティティ保護、組織体制の構築まで一気通貫で支援します。

① 攻撃の「入り口」を塞ぐ:ASM(Attack Surface Management)サービス

攻撃者は常に、VPN機器の脆弱性や管理外の公開サーバーなど、組織の「外側」にある隙を探しています。

② アイデンティティ保護の決定打:CrowdStrike Falcon Identity Protection

大手通販事業者の事例のように、盗まれた認証情報を用いた攻撃は、従来のEDRだけでは防ぎきれない場合があります 。

③ 「司令塔」を作る:CSIRT構築・運用支援

技術的な解決だけでなく、経営判断や法規制対応を統制する組織が必要です。

④ 有事の駆け込み寺:「サイバー119」緊急対応サービス

予兆を検知した際や被害発生時、GSXの専門エンジニアが即座に介入します。

結びに:レジリエンスこそが最強の防御

2025年の1年間で、サイバー攻撃は「不可避の経営災害」であることが再認識されました。攻撃を100%防ぐことは不可能でも、「何ヶ月も気づかないこと」を防いだり、「システムが止まっても事業を続ける」仕組みを作ることは可能です。

GSXは、最新の脅威動向と豊富な事案対応経験に基づき、貴社の「揺るがない事業基盤」の構築を全力でサポートします。

次のステップとして、GSXが支援できること

インシデント対応支援 株式会社NITTAN 様 │ 導入事例
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