株式会社ビジネスブレイン太田昭和 │ Abnormal AI
~高度化するメール攻撃をAIで検知して社員を守る~
ビジネスブレイン太田昭和様はAbnormal AIを導入し、高度化するメール攻撃をAIで検知して被害抑止に取り組んでいます。Microsoftでは検知できない攻撃メールもAbnormal AIが検知するなど、メール攻撃に対する防御力が高まっています。
ビジネスブレイン太田昭和様(以下BBS)は、2026年3月時点で単体で1,066名、連結で2,495名を抱え、経営会計コンサルティングやシステム構築・運用、BPOなどをグループ13社が連携してお客様の課題をご支援しています。
BBSの情報システム部門が陣頭指揮を取り、グループ各社に対してeラーニングやメール訓練などのセキュリティ対策を提供することで、グループ全体でのセキュリティガバナンス強化に取り組んでいます。
サイバー攻撃者がAIを活用するなど、メールを使ったサイバー攻撃は、システム的な検知だけでなく、人的な見極めも非常に困難になってきています。BBSではAbnormal AIを導入することで、Microsoft 365だけでは検知できなかったメール攻撃も検知することができるようになっており、メール攻撃に対する防衛力が高まっています。
BBS情報システム部石渡部長にセキュリティの在り方からメール攻撃対策としてのAbnormal AIの特徴・効果など幅広くお話をお伺いしました。
目次
株式会社ビジネスブレイン太田昭和
企画・管理本部 情報システム部 兼 施設購買担当 部長
石渡 弘行 氏
株式会社ビジネスブレイン太田昭和
企画・管理本部 情報システム部 兼 施設購買担当 部長
石渡 弘行 氏
BBSグループは、複数の事業会社で構成される企業グループとして、多様な業種・業態を内包しながら事業を展開している。13社のグループ会社それぞれが異なるビジネス環境、IT利用形態、業務プロセスを持つ中で、共通の課題として存在しているのがサイバーセキュリティ対策である。このような環境下において、BBS情報システム部門は、グループとしてのセキュリティガバナンス向上というミッションを持ち、個別最適ではなく「グループ全体での最適化」を前提としたセキュリティ運用に取り組んでいる。今回は、そのリーダーであるBBS情報システム部石渡部長にセキュリティ対策の在り方、グループとしてのセキュリティ対策、BBSでのメール攻撃の実態とその対策など幅広くお話を伺った。
国内・海外含めグループでビジネスを構成している企業において、親会社としてグループのセキュリティガバナンスの確保に頭を悩ませている企業は多いのではないだろうか。グループ横断のセキュリティ施策は、単純な統制だけでは成立しない。各社の自主性や業務の特性を尊重しながら、一定のセキュリティ水準を担保する必要がある。そのためBBSグループでは、強制的なルールで縛るのではなく、「グループとして一体となってセキュリティを高めていく」ための推進役として情報システム部門が機能している。
陣頭指揮を執るBBSのセキュリティ戦略を語るうえで欠かせないのが、「セキュリティは目立つべきではない」という石渡氏の思想である。同社では、セキュリティをユーザーに強く意識させることを必ずしも良しとしていない。むしろ理想とするのは、空気や水のように「そこにあるのが当たり前」であり、日常業務の中で意識されることなく機能する状態である。この考え方の背景には、業務効率とセキュリティのトレードオフに対する明確な認識がある。セキュリティ対策が強すぎると、業務の利便性を損なうだけでなく、かえってユーザーがそれを回避しようとする動きにつながる可能性もある。その結果、本来意図しないリスクが生まれることもある。一方で、「仕組みがあるから安心」という状態も危険である。どれほど高度なセキュリティ対策を導入しても、最終的な判断を行うのは人である。したがって、システムと人の双方が機能することで初めて、セキュリティは成立するという認識が重要になる。
このようにBBSでは、「ユーザーに負担をかけず、しかし確実に守る」というバランスを重視している。そしてその考え方が、後述するAbnormal AIの導入思想にもつながっている。
BBSグループでは、既に複数のセキュリティ施策を組み合わせた多層防御の考え方を導入している。従業員に対してはKnowBe4を用いたeラーニングとメール訓練を継続的に実施し、ヒトのリテラシー向上を図っている。また、SecurityScorecardを活用し、グループ会社全体のセキュリティスコアを外部視点で可視化する取り組みも行われている。さらに、GSXと連携したグループCSIRT体制も構築されており、インシデント対応やリスク評価において一定の成熟度を確保している。しかしながら、こうした取り組みを行っていてもなお、完全な防御は実現できないという現実があった。特に近年において顕著となっているのが、「ヒトを狙った攻撃」の高度化である。
BBSがAbnormal AIの導入に至った背景には、メール攻撃の高度化がある。特に顕在化したのが、経営層を狙った攻撃の増加である。覚えておられる方も多いのではないだろうか?2025年冬ごろ社長を名乗るメールや振込指示を装ったメールが実際に届くなど、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれないケースが確認されていた。AIの発達に伴い、近年の攻撃メールは一見すると自然であり、従来のフィルタリングでは検知が難しいという特徴を持っている。こうした状況に対して、既存のMicrosoft 365のフィルタリング機能は一定の効果を発揮していたものの、すべてを防げるわけではなかった。「通り抜けてしまうメール」が存在する以上、その対処は避けて通れない課題であった。
さらに、過去のインシデント対応経験も意思決定に大きな影響を与えている。BBSでは2020年にEmotetへの対応を経験しており、その際には社内対応や対外的な影響が発生した。この経験により、経営層を含めたセキュリティに対する意識は大きく変化した。 「実際にインシデント対応を経験しているかどうか」は、セキュリティ投資に対する判断において重要な分岐点となる。同社の場合、その経験が「追加投資の必要性」を明確に認識させる契機となっていた。
│過度に遮断しないという設計思想
Abnormal AIの導入にあたって、BBSが重視したのは「どこまで遮断するか」という点であった。一般的に、セキュリティ製品はリスクを低減するためにメールの削除やブロックを行うことが多い。しかし、BBSではこのアプローチを採用していない。代わりに、検知したメールを迷惑メールフォルダに格納する運用としている。この理由は明確である。誤検知によって重要なメールが届かないことは、場合によっては対応漏れなどセキュリティインシデント以上のビジネスリスクになり得るためである。また、サイバー攻撃が疑われるメールが迷惑メールフォルダに移動されることで、ユーザーは「違和感」に気づくことができる。同時に、本当に必要なメールであれば自ら取り出すことも可能である。この設計により、セキュリティと業務継続性の両立が実現されている。Abnormal AIが検知して迷惑メールフォルダに振り分ける数が増えた一方で、正規メールを誤って迷惑メールに振り分けてしまうケースは極めて少なく、検知精度の高さが確認されている。
│AIによる“人の判断に近い検知”
Abnormal AI導入後に最も大きく変化したのは、メール検知の質である。従来のフィルタリングは、ドメイン情報や既知のパターンといったルールベースに近い判定が中心であった。一方、Abnormal AIでは、文面や文脈、送信者との関係性といった複合的な要素を基に判断が行われる。その結果、これまで受信トレイに届いていた「判断が難しいメール」が適切に振り分けられるようになった。利用者の感覚としては、「人が一度目を通したかのような判定」が行われている印象を受けるという。実際に、Microsoftでは検知を通過したメールが、Abnormal AIでは高スコアの攻撃として判定されるケースもあり、その差異は明確である。この違いは、単なるフィルタリングの精度向上にとどまらず、「判定の質の変化」と言えるものである。
BBSの取り組みの中で特筆すべき点のひとつが、「ユーザーに見せない運用方針」である。Abnormal AIの導入について、同社は社員全体に対して明確な周知を行っていない。この判断は意図的なものであり、セキュリティ対策に対する過信を防ぐためである。もしユーザーが「この仕組みがあるから安全」と認識した場合、自身の注意力が低下する可能性がある。これは、ヒトを起点とする攻撃に対しては致命的な弱点となり得る。そのため同社では、あくまで「ユーザーは自ら判断する主体である」という前提を崩さないようにしている。その上で、裏側でテクノロジーが支える構造を維持している。
BBSでは、KnowBe4を活用した従業員向け教育や訓練も継続して実施しているが、教育だけでリスクを完全に排除することはできないと認識している。実際の訓練では、一定割合のユーザーがメールを開封し、中には繰り返し同様の行動を取るケースも見られる。特に業務関連を装ったメールが開封傾向が高いという。これは、単に意識の問題ではなく、人間の認知特性や業務環境に起因するものである。忙しい状況や、業務に関連していると感じた場合、リスク判断は鈍る傾向がある。したがって、教育と並行して、システム側でリスクを低減する仕組みが不可欠となる。Abnormal AIの導入は、この課題に対する現実的な補完策としても機能している。
また、「私たちと一緒に働いてくださる委託先の方を含めた運用設計が重要になる」とも石渡氏は警鐘を鳴らす。委託先の従業員までリテラシー向上を機能させることは、自社の従業員のそれよりも難しいのではないだろうか。そのため、仕組で回避することの重要性が増すと言える。
BBSがAbnormal AIを評価しているもう一つの理由が、導入および運用の容易さである。「Microsoft 365環境の企業には特におススメ」と石渡氏は語る。Microsoft 365との連携はAPIベースで行われるため、既存のメールフローに大きな変更を加える必要がない。管理者による設定も短時間で完了し、特別な運用負担は発生しない。また、必要に応じて特定のユーザーや部門に限定した導入も可能であり、段階的な展開にも対応できる。
近年のサイバー攻撃は、生成AIの普及によって大きく変化している。従来は不自然な文章や翻訳調の日本語が識別の手がかりとなっていたが、現在では自然な文章での攻撃が可能となっている。この変化は、日本企業にとって大きな意味を持つ。これまでは言語の特性が一定の防御壁となっていたが、その優位性が失われつつある。結果として、「人の感覚に頼る判断」が通用しにくくなり、より高度な分析と多角的な検知が求められる時代に移行している。
こうした環境変化に対応する上で、Abnormal AIの検知アプローチには従来型の対策とは異なる特徴がある。同社は行動解析AIプラットフォームを核とし、文面の巧拙や既知のパターンとの一致に依存せず、従業員一人ひとりの日常的なコミュニケーション――誰と、どのような頻度で、どのような文脈でやり取りしているか――を学習し、「平常時の挙動」をベースラインとして構築する。そのうえで、そこから逸脱する挙動――普段やり取りのある相手から突然の支払い口座変更依頼、通常と異なる地域・端末からのメール配信、社内の役職者を装ったなりすましなど――を検知する仕組みとなっている。この行動解析AIにより、文章そのものの自然さが向上した場合でも、送信者の挙動や関係性という別の軸から異常を捉えることが可能になる。
この検知手法は、ユーザーが個々のメールに対して警戒心を働かせることを前提としない。判断はあくまでシステム側の挙動分析によって裏側で完結し、ユーザーの注意力や経験に依存しない。石渡氏が重視する「セキュリティは目立つべきではない」という運用思想――ユーザーに構造の存在を知らせず、過信による注意力の低下を避けるという考え方――は、こうした「ユーザーの判断を待たずに機能する」技術的な裏付けがあってはじめて成立していると言える。
石渡氏がセキュリティにおいて最も重視しているのは、「日常を守ること」である。インシデントが発生すると、業務は大きく混乱し、顧客対応や社内対応など、通常とは異なる負荷が発生する。場合によっては、企業の信頼やブランドにも影響を及ぼす。不運にも被害のきっかけとなってしまった社員も大きな精神的負担を追うことになる。こうした事態を防ぐために必要なのは、特別な対策ではなく、「何も起きない状態」を維持することである。その状態を継続することこそが、情報システム部門の使命であると同社は考えている。
BBSの取り組みは、現代のセキュリティにおける重要な示唆を含んでいる。それは、ヒトかテクノロジーかという二項対立ではなく、「両者をどう組み合わせるか」という視点である。教育だけでも、システムだけでも不十分であり、それぞれの特性を理解した上で最適なバランスを取ることが求められる。Abnormal AIは、その中でヒトの判断を支える役割を果たしている。目立つことなく、しかし確実にリスクを低減する。その存在は、まさに「見えないセキュリティ」と言える。
そして最終的に目指すべき姿は、誰もセキュリティを意識せずに業務に集中できる環境である。その日常を守るための取り組みは、これからもBBSの取り組みは進化し続けていくだろう。
- Microsoft 365では検知できないメール攻撃を検知 Abnormal AIはMicrosoft 365では検知できないメール攻撃を検知できている
- リテラシー向上とシステム的なフォローでセキュリティガバナンスを強化 eラーニングやメール訓練といったリテラシー向上施策とツールなどによるシステム的なフォローによりセキュリティガバナンスがさらに強化される
- あえて迷惑メールフォルダに入れる 検知されたメールを削除するのではなく迷惑メールフォルダに格納することで、意識づけをすることに加え、誤検知によるビジネスへの影響を軽減する
- ユーザーに負担をかけず、しかし確実に守る セキュリティを意識させすぎもせず、一方で油断させすぎもせず、バランスを取りながらセキュリティ態勢を強化していく
会社名
株式会社ビジネスブレイン太田昭和
所在地
東京都港区西新橋1-1-1 日比谷フォートタワー 15F
設立
1967年8月
資本金
22億3,349万円
代表取締役社長
小宮 一浩
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